後悔しない不動産売却の鍵「境界確認」とは?

後悔しない不動産売却の鍵「境界確認」とは?

この記事でわかること

  • 境界が曖昧なまま売却を進めると、引き渡し後に「越境していた」等の問題が発覚し、損害賠償に発展することがある
  • 福井の住宅街では「ブロック塀の中心=境界」という思い込みや、境界標(杭)の紛失がよくあるトラブルの原因
  • 先代同士の口約束による境界は、代替わりすると法的根拠として弱くなる
  • 安心して売却するには、土地家屋調査士による「確定測量」で隣地所有者全員の合意を得ておくのが基本
  • 境界がわかっていても、塀の「越境」や「共有」が見落とされがちで、契約書での書き方が重要になる

不動産を売却する際、土地の面積や価格(相場)と同じくらい大切なのが「お隣との境目(境界)」をハッキリさせることです。「昔からここが境目だと言い合っているから大丈夫」「ブロック塀があるから問題ない」と思っていませんか。実は、境界が曖昧なまま売却を進めると、後々大きなトラブルに発展することがあります。今回は、20年の実務経験をもとに、境界確認の重要性と進め方について解説します。

なぜ「境界確認」が必要なのか

土地を売却する際、売主には「どこからどこまでを売るのか」を明確にする義務があります。境界が不明確だと、売却後に「実は塀が越境していた」といった問題が発覚し、損害賠償を請求されるケースもあります。

福井での実例:よくある「思い込み」の落とし穴

福井の住宅街でも、古い分譲地や代々引き継いできた土地では、次のようなケースによく遭遇します。

  • ブロック塀の中心が境界だと思っていた:実際には、どちらか一方の所有物だったり、塀の内側が本当の境界だったりすることがあります
  • 境界標(杭)がなくなっている:工事や除雪、経年劣化で杭が動いたり、埋まってしまったりすることは珍しくありません
  • 「昔からの約束」は通用しない:先代同士が口約束で決めていた境目は、代替わりをすると法的根拠としては弱くなってしまいます

「確定測量」のススメ

安心・安全に土地を売るためには、土地家屋調査士に依頼して「確定測量」を行うことをおすすめします。これは、隣地所有者の方々に立ち会っていただき、図面と現況を照らし合わせ、全員の合意を得て「境界確認書」を作成する作業です。境界確定には、隣人の方との良好な関係が不可欠です。測量にかかる費用の目安は【売却編】手元に残るお金を計算するためにで解説しています(30万円〜が目安)。

境界がわかっていても油断できない「越境」と「共有の塀」

境界の位置そのものがわかっていても、それだけで安心はできません。実際には、塀や庭木が境界線をまたいで隣地にはみ出している「越境」や、塀を隣家と共同で設置・費用負担している「共有の塀」が見つかるケースがよくあります。

  • 越境の例:境界上の塀が実測すると数センチ〜数十センチずれていた/隣家の庭木の枝や自宅の庇が境界を越えていた
  • 共有の塀の例:昔、隣家と折半で設置したブロック塀が、どちらか一方の所有物ではなく共有名義(または共有の慣行)になっている

越境や塀の共有は、境界がはっきりしている土地でも起こり得ます。これを告知せずに売却し、引き渡し後に買主や隣地所有者との間でトラブルになると、売主が契約不適合責任を問われる可能性があります。「昔からのことだから」と曖昧にせず、事実を整理して買主に伝えることが大切です。

契約書では、次のような形で対応方法を明記しておきます。

  • 塀が共有物である可能性や、境界を越えて設置されている可能性があることを買主が理解したうえで購入する旨を明記する
  • 引渡しまでに売主の負担で越境を解消してから引き渡すのか、現状のまま引き渡して将来の対応(撤去・解消の費用負担など)を取り決めておくのか、状況に応じて方針を決める
  • 隣地所有者との間で「建て替え時に撤去する」等の口約束がある場合は、覚書として書面化しておく

どの対応方法が適切かは、隣地所有者との関係性や売却スケジュールによって変わります。契約書の特約として反映する際は、不動産会社に相談しながら進めることをおすすめします。

売却を決める前にやっておくべきこと

  1. ご自宅にある「図面」を探す:測量図や分譲時のパンフレットなどがヒントになります
  2. 現地の杭を自分で確認する:コンクリート杭や十字の金属プレートが見えるか探してみてください
  3. 専門家に相談する:「杭がないから売れない」わけではありません。どう進めるのがベストか、プロの視点でアドバイスいたします

現場でよくある失敗例と対策

これまでの境界確認のご相談の中で、実際によくある失敗パターンをご紹介します。

  • 失敗例1:境界未確定のまま売却活動を始め、買主が見つかってから測量が必要になり、引き渡しが数ヶ月遅れた
  • 失敗例2:「昔からの口約束」を根拠に境界を主張したが、代替わりした隣人に通用せず、確定測量からやり直すことになった
  • 失敗例3:境界標が失われていることに気づかず売り出し、内覧段階で買主から指摘されて信用を落とした

こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。

  • 売却を検討し始めた段階で、境界標の有無・図面の有無を確認しておく
  • 口約束のみで境界が決まっている場合は、早めに確定測量で書面に残す
  • 境界に不安がある場合は、売却活動を始める前に土地家屋調査士へ相談する

なお、引き渡し後に「契約不適合責任」を問われるのは境界だけでなく、建物の雨漏りやシロアリなどの不具合も対象になります。詳しくは不動産売却の「契約不適合責任」とは?で解説しています。

まとめ

  • 境界が曖昧なまま売却すると、引き渡し後のトラブル・損害賠償リスクがある
  • ブロック塀の位置や口約束は、法的な境界の根拠として弱い
  • 確定測量で隣地所有者全員の合意を得ておくことが最大の備え
  • 境界がわかっていても、塀の越境や共有の有無は別途確認し、契約書に反映しておく
  • 境界に不安がある場合は、売却活動の前に専門家へ相談する

境界を整えてから売却することは、買主様への誠意であると同時に、売主様自身を将来のトラブルから守る「保険」でもあります。「境界のことでお隣と言いづらい」「杭が見当たらない」といった小さなお悩みも、福井で20年、多くの現場を見てきた私がアドバイスをいたします。

春山不動産 代表者 間 麗

福井市の土地売却・境界確認のご相談

この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)

福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。