「特定空家」に指定されたらどうなる?行政代執行で解体・費用請求されることも

この記事でわかること
- 「特定空家」に指定された後、どのような段階を踏んで行政の措置が進んでいくか
- 命令に従わなかった場合の過料(50万円以下)と、行政代執行(強制解体)のリスク
- 行政代執行になった場合、解体費用が所有者にどう請求されるか
- この状態になる前に、今からできること
「自治体から空き家についての通知が届いたが、これがどこまで進むと危険なのか分からない」——福井市内でも、こうしたご相談をいただくことがあります。「特定空家」という言葉は聞いたことがあっても、その先に何が起きるのかまで理解している方は多くありません。今回は、特定空家に指定された後の措置の流れと、最終的な「行政代執行」で何が起きるのかを解説します。
特定空家に指定されると何が起きる?4段階の流れ
空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)では、特定空家等に対する措置は、原則として次の4段階を順に踏んで進められます。
①助言・指導
最初の段階です。市区町村から書面や電話で「適切に管理してください」という助言・指導が行われます。この時点ではまだ法的な強制力はなく、草刈りや外壁の補修など必要な対応を行い、自治体に報告すれば、次の段階には進みません。
②勧告
助言・指導に応じない場合、次は「勧告」に進みます。勧告を受けた時点で、固定資産税の住宅用地特例(税負担を軽減する特例)が翌年度から解除され、税負担が大きく増える可能性があります。この段階の詳しい仕組みは放置した実家、固定資産税が6倍に?「管理不全空家等」の仕組みと回避策で解説しています。
③命令
勧告にも応じない場合、市区町村長による「命令」が出されます。命令に違反すると、50万円以下の過料が科される可能性があります(空家法第16条第1項)。この段階まで来ると、行政側の対応はかなり本格化していると考えるべきです。
④行政代執行
命令にも従わない場合の最終手段が「行政代執行」です。自治体が所有者に代わって解体などの措置を実施し、かかった費用は所有者に請求されます。なお、所有者が誰か分からない、所在が確認できないといった場合には、助言・指導や勧告・命令の段階を経ずに代執行を行う「略式代執行」という制度もあります。
「自治体から通知が来たが、どう対応すればいいか分からない」まずはご相談ください
行政代執行になった場合、費用はどれくらいかかるのか
行政代執行が実施された場合、解体工事の実費だけでなく、事務手続きにかかった費用も含めて所有者に請求されます。木造の一般的な住宅でも、立地や規模によっては数百万円規模になることがあり、業者に直接解体を依頼するより割高になりやすいとされています。
この費用を支払わない場合、国税滞納処分の例により、預金口座や不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。差し押さえの対象は、代執行の対象となった空き家に限らず、現在お住まいの自宅や車なども含まれ得る点は、正しく理解しておく必要があります。
こうなる前にできること
これまでのご相談の中で、実際によくあるパターンをご紹介します。
- 失敗例1:助言・指導の通知を「そのうち対応すればいい」と後回しにしているうちに、勧告の段階まで進んでしまった
- 失敗例2:解体費用が用意できず、命令にも対応できないまま放置し、行政代執行に至った
- 失敗例3:管理が難しいと分かっていながら誰にも相談せず、選択肢を検討しないまま状況が悪化した
こうした事態を避けるための対策は次の3点です。
- 自治体からの通知は、段階が浅いうち(助言・指導の時点)にできるだけ早く対応する
- 解体費用の準備が難しい場合も、放置せず自治体や不動産会社に早めに相談する
- 建物を維持できない場合は、古家付きのまま売却する・解体して更地で売却するなど、行政代執行に至る前の選択肢を検討する
管理が難しい空き家をどうするかについては、実家を「負動産」にしないためにや空き家が売れない理由とは?もあわせてご覧ください。
まとめ
- 特定空家への措置は「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」の4段階で進む
- 勧告の段階で固定資産税の特例が解除され、命令に違反すると50万円以下の過料が科される可能性がある
- 行政代執行になると解体費用は所有者負担となり、支払わない場合は財産の差し押さえに発展し得る
- 段階が浅いうちに対応・相談することが、最も現実的な回避策
自治体からの通知への具体的な対応方針は自治体窓口や弁護士への相談が必要になりますが、「建物をどうするか」「売却するとどのくらいの価値があるか」といった不動産としてのご相談は、私たちにもお気軽にお尋ねください。

福井市の空き家・相続不動産のご相談
この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)
福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。
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