空き家になった実家、片付けと売却はどう進める?遺品整理〜引き渡しまでの実務ガイド

この記事でわかること
- 実家の片付け(遺品整理)と売却活動は、同時並行で進めた方がスケジュールが早まりやすい
- 遺品整理業者に依頼する場合の費用相場と、間取りによる目安
- 遺品整理業者を選ぶときに確認すべきポイント(許可の有無・相見積もり)
- 片付けと売却をどう並行させるか、タイムラインの考え方
- 片付けの順番と、片付けずに売る方法
- 処分する前に、相続人で確認しておきたいこと
福井市では、相続した実家が空き家になり、「家財が残ったままで何から手をつければいいかわからない」というご相談をよくいただきます。片付けを終えてから売却活動を始めようとすると、その分だけ売却のスタートが遅れてしまいます。今回は、実家の片付け(遺品整理)と売却活動をどう同時進行させるか、遺品整理業者の選び方や費用相場もあわせて解説します。
片付けと売却、なぜ同時に進めた方がいいのか
「家財をすべて片付けてから査定・売却活動に入る」という順番で考える方も多いのですが、実際には査定や売却活動の準備を並行して進めることができます。不動産会社は残置物がある状態でも査定は可能ですし、売却活動(掲載・内覧準備)を進めながら片付けを進めれば、全体の期間を短縮できます。特に空き家は、期間が延びるほど建物の傷みが進み、固定資産税や管理の負担も続くため、できるだけ早く動き出すことが結果的に有利に働きます。
遺品整理の進め方
自分たちで片付けるか、業者に依頼するか
家財の量が少ない場合や、形見分けとして残したいものを自分たちで選別する時間が十分にある場合は、自分たちで片付けることも可能です。一方で、実家が遠方にある、家財の量が多い、仏壇や大型家具の処分が必要といったケースでは、遺品整理業者への依頼が現実的な選択肢になります。
遺品整理業者を選ぶときに確認したいポイント
- 一般廃棄物収集運搬業の許可があるか:家庭から出る不用品(一般廃棄物)を業として収集・運搬するには、市区町村の許可が必要です。無許可の業者に依頼すると不法投棄などのトラブルに巻き込まれるリスクがあるため、見積もり時に許可証の提示を求めることをおすすめします
- 相見積もりを取る:家財の量や間取りが同じでも、業者によって見積もり額に差が出やすい分野です。最低でも2〜3社に見積もりを依頼し、作業内容(仕分け・清掃・買取の有無など)まで含めて比較しましょう
- 買取に対応しているか:状態のよい家具・家電・骨董品などは買取対象になることがあり、買取分が処分費用から差し引かれるケースもあります
費用相場の目安
遺品整理の費用は、家財の量(間取り)や建物の階数、立地条件によって変動しますが、一般的な目安は次のとおりです。
- 2LDK・3K程度:20万円〜30万円
- 3LDK以上・一戸建て:25万円〜60万円程度
あくまで目安であり、実際の費用は現地見積もりで確認する必要があります。エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の4品目は、家電リサイクル法の対象となるため、動産の撤去費用とは別に、リサイクル料金などが上乗せされて見積もりになります。仏壇・仏具の閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)が必要な場合は、別途お寺への依頼費用がかかる点もあわせて確認しておくとよいでしょう。
解体工事とあわせて依頼する場合
建物の解体を前提にしている場合は、解体工事とあわせて、家財の撤去を依頼することもできます。この場合の家財の撤去は、産業廃棄物としての撤去になります。家財の撤去費用は、見積もりの段階で、解体費用に反映されます。解体費用に家財の撤去が含まれているか、別の項目になっているかは、見積書で確認してください。事前に、ご自身で撤去できるものが一部でもあれば、その分、解体費用を抑えられます。
「片付けと売却、何から進めればいいか分からない」という方はご相談ください
片付けと売却活動をどう並行させるか
片付けと売却は、次のような流れで並行させると効率的です。
- ①査定依頼:残置物がある状態のままで、まず不動産会社に査定を依頼します。片付けを待つ必要はありません
- ②遺品整理業者への相見積もり:査定と並行して、遺品整理業者2〜3社に見積もりを依頼します
- ③売却活動の開始準備:査定額に納得できれば媒介契約を結び、並行して片付けの日程を決めます。ポータルサイトへの掲載写真は、片付け後に撮影するのが望ましいため、片付けの完了時期に合わせて掲載開始日を調整します
- ④内覧対応:片付けが完了していれば、通常どおり内覧に対応できます。片付けが間に合わない場合は、内覧希望者に残置物がある旨を事前に伝えておくとトラブルを避けやすくなります
相続登記が済んでいない場合は、売却活動そのものより前に名義変更の手続きが必要です。相続登記や査定から引き渡しまでの全体の流れは実家を売却する流れ|相続した家の処分方法で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
実家の片付けの進め方|順番とコツ
片付けは、「探す → 選ぶ → 分ける → 処分する → 清掃する」の順で進めると、やり直しが少なくなります。
- 貴重品・重要書類を先に探す:権利証(登記識別情報)、通帳・印鑑、保険証券、固定資産税の納税通知書、各種の契約書類などです。権利証が見つからなくても売却はできます(権利証をなくしても家は売れる?)。
- 残すものを決める:写真、仏壇、思い出の品など、形見分けしたいものを、相続人で相談して選びます。
- 分別する:「買取に出せるもの」「処分するもの」「リサイクル対象のもの」に分けます。
- 処分する:自治体のごみの分別ルールに従うか、業者に依頼します。エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)は家電リサイクル法の対象で、通常のごみとして出せません。販売店や、指定された方法で処分します。遺品整理業者に依頼する場合も、この4品目は、撤去費用とは別に、リサイクル料金などが上乗せされて見積もりになるのが一般的です。
- 清掃・換気をする:内覧や引き渡しに備えて、簡単な掃除と換気をしておくと、印象がよくなります。
遺品を処分する前に、相続人で確認しておくこと
- 相続人全員で話し合う:遺産分割が終わる前に、価値のあるものを勝手に処分すると、あとで相続人どうしのトラブルになることがあります。処分する前に、相続人で共有しておきましょう(遺産分割と不動産トラブルの解決方法)。
- 書類は、処分の前に必ず確認する:権利関係や、不動産の売却に関わる書類が、押し入れや仏壇の引き出しに入っていることがあります。
- 写真に残してから処分する:判断に迷うものは、写真を撮ってから処分すると、気持ちの整理がつきやすくなります。
片付けずに売る方法もある
「片付けが終わらないと売れない」わけではありません。家財が残った状態で売る方法もあります。
- 残置物ありのまま、仲介で売る:家財の扱い(売主が撤去するか、買主に引き継ぐか)を、売買契約で明確にしておく方法です。決め方は、残置物と付帯設備表の決め方で解説しています。
- 買取で売る:家財が残っていても、現状のまま買い取れるケースがあります。ただし、売却価格は市場価格より低くなる傾向があります(福井市の不動産買取について)。
どちらも、価格や条件が変わるため、「片付けにかかる費用と手間」と「売却価格」を比べて決めるのが基本です。空き家の売却全般は、相続した空き家、放置は危険?もご覧ください。
片付けの費用を抑える3つのコツ
- 自分たちで減らせるものを、先に減らす:ごみとして出せるものや、資源ごみを先に減らすと、業者に頼む量が減ります。
- 作業内容をそろえて、相見積もりを取る:「仕分け・清掃の有無」「買取の有無」など、条件をそろえて比べないと、安い高いが判断できません。
- 売却の条件を先に決める:「現状のまま売る」のか「片付けてから売る」のかで、必要な片付けの範囲が変わります。先に不動産会社に相談すると、無駄な片付けを減らせます。
よくある質問
片付けをしないと、家は売れませんか?
いいえ。家財が残った状態でも、査定や売却は可能です。ただし、売却の方法や条件によって、価格や手続きが変わります。まずは、現状のまま査定を依頼してみてください。
仏壇は、どうすればいいですか?
仏壇・仏具は、お寺に相談して、閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)を行ってから処分するのが一般的です。呼び方は宗派によって異なり、「閉眼供養」「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれます。浄土真宗では、魂を抜くという考え方をとらないため、法要の呼び方や進め方が異なります。福井では浄土真宗のご家庭も多いため、ご自宅の宗派と、必要な法要の名前・費用を、菩提寺に確認してから進めてください。費用や進め方は、お寺や業者によって異なります。
遠方に住んでいて、片付けに通えません。どうすればいいですか?
遺品整理業者に依頼する方法があります。鍵の受け渡し方法や、立会いが必要かどうかは、業者によって異なるため、見積もりの際に確認してください。
現場でよくある失敗例と対策
これまでの実家売却のご相談の中で、片付けに関して実際によくある失敗パターンをご紹介します。
- 失敗例1:片付けを先に終わらせようとして着手が遅れ、その分だけ査定・売却活動の開始も先延ばしになってしまった
- 失敗例2:料金の安さだけで遺品整理業者を選び、後から追加費用を請求されたり、許可のない業者で不用品の処分方法に不安が残ったりした
- 失敗例3:仏壇・思い出の品の選別に時間がかかり、業者への依頼日程を何度も延期することになった
こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。
- 片付けの完了を待たず、査定依頼だけでも早めに動き出す
- 遺品整理業者は許可の有無を確認したうえで、必ず相見積もりを取る
- 形見分けしたい品だけ先に選別し、それ以外は業者にまとめて任せることで日程を短縮する
実家を手放すことに気持ちの迷いがある方は、実家を売るのは悲しい…と迷う方へ|気持ちの整理と、後悔しない進め方もあわせてご覧ください。
まとめ
- 片付け(遺品整理)を終えてから売却活動を始めるのではなく、査定依頼や見積もり取得は同時並行で進めた方がスケジュールを短縮できる
- 遺品整理業者を選ぶ際は、一般廃棄物収集運搬業の許可の有無を確認し、相見積もりを取る
- 費用相場は間取りによって20万円〜60万円程度と幅があり、実際の金額は現地見積もりで確認する
- 相続登記が未了の場合は、売却活動より前に名義変更の手続きが必要
「片付けと売却、どちらから手をつければいいかわからない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。査定は残置物がある状態でも可能です。当社では、家財の片付け、建物の解体、売却まで、窓口一本でご相談いただけます。
仲介と買取のどちらが向いているか迷う場合は、売却・相続のご相談窓口でまとめてご相談いただけます。

福井市の実家片付け・売却のご相談
この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)
福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。
実家の片付け・売却、まずはお気軽にご相談ください


