売却の引き渡し、エアコンは置いていく?残置物と付帯設備表の決め方

この記事でわかること
- 「付帯設備表」は設備を残す・撤去するかを一覧にする書面、「残置物」は原則として売主が撤去すべき不要品という、似ているが役割が違う2つの言葉
- エアコンや照明などの設備は「残すか撤去するか」を契約前に決め、故障の有無まで具体的に書面へ残すことが引渡し後のトラブルを防ぐ最大の対策
- 「まだ使えるから」という売主の独断で残した設備・家具が、買主にとっては処分費用のかかる負担になり、クレームに発展するケースが少なくない
- 特にエアコンは寿命の目安が8〜10年とされ、古いものは残す前提にせず処分を検討したほうがトラブルを避けやすい
「売却が決まったら、家の中のものはどこまで持っていけばいいのか」——引き渡しが近づくと、こうした疑問を持つ売主の方が少なくありません。エアコンや照明、カーテンなど、住みながら使っていた設備をどう扱うかは、契約書とは別に「付帯設備表」という書面で1つずつ取り決めます。今回は、この付帯設備表の役割と、残置物として残す場合の注意点を、実務の視点から解説します。
「付帯設備表」と「残置物」の違い
付帯設備表とは
付帯設備表とは、物件に付いている設備について「引き渡すか撤去するか」「故障や不具合がないか」を1つずつ一覧にした書面です。売買契約書・重要事項説明書とあわせて、契約時に売主が作成し買主へ提示します。記載する範囲は、キッチン(換気扇・レンジ・食洗機など)、浴室(浴槽・シャワー・浴室乾燥機など)、洗面・トイレ・洗濯関連の設備、そして玄関・窓の建具や網戸まで、住宅の設備全般に及びます。
残置物とは
一方、残置物とは、エアコンなどの「設備」以外で、引き渡し時に物件内に残っている家具・家電・不用品のことです。不動産の引き渡しは、原則として「空の状態」で行うのが基本であり、残置物の処分は売主の責任と負担で行うのが原則です。「置いていっても構わないだろう」という自己判断が、後述するトラブルの一番多い原因になります。
何を「残す」か「持っていく」か、判断の目安
引き渡し前に判断が必要になりやすい代表的な設備・家財を整理しました。
- エアコン:寿命の目安は8〜10年とされ、それに近い年数が経過している場合は、残す前提にせず売主側で処分するほうがトラブルを避けやすいとされています。まだ新しい場合は「残置設備として無償で譲る」ことが買主に歓迎されやすく、査定価格にも良い印象を与えることがあります
- 照明器具・カーテン・カーテンレール:残すことが多い設備ですが、退去時に持ち出すつもりなら早めに仲介会社へ伝えておくと、契約書・付帯設備表への反映漏れを防げます
- 物置・庭木・エクステリア:解体・撤去に費用がかかるものは、契約前に「どちらが撤去するか」を明確にしておく必要があります
- 大型家具・不用品:原則は売主が引き渡し前に撤去。買主が「そのままでよい」と了承した場合のみ残せますが、口約束で済ませず必ず書面に残しましょう
| 設備・家財 | 目安の判断 |
|---|---|
| エアコン | 寿命8〜10年が目安。近い年数なら処分推奨、新しければ残置設備として歓迎されやすい |
| 照明器具・カーテン・カーテンレール | 残すことが多いが、持ち出すなら早めに仲介会社へ連絡 |
| 物置・庭木・エクステリア | 撤去費用がかかるため契約前にどちらが負担するか明確化 |
| 大型家具・不用品 | 原則は売主が撤去。買主了承時のみ残せるが必ず書面化 |
「うちの設備、残したほうがいい?」査定時にあわせてご相談いただけます
実務上、特に注意しておきたい2つのポイント
「残す」と決めたら、故障の有無まで具体的に書く
エアコンや給湯器を「残置設備」として引き渡す場合、動作するかどうかまで付帯設備表に明記することが重要です。「あるものをそのまま渡した」つもりでも、引き渡し後に故障が発覚すると、契約内容と実際の状態が異なる「契約不適合」として責任を問われる可能性があります。契約不適合責任の考え方は不動産売却の「契約不適合責任」とはで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
撤去が引渡し当日までに終わっていないと、引渡し自体ができないこともある
残置物の撤去は、引渡し当日ではなく、それより前に完了しているのが原則です。粗大ごみの収集予約や不用品回収業者の手配には数週間かかることもあるため、契約が決まった段階で早めに計画を立てておく必要があります。査定から契約までの一般的な流れは査定の流れと準備するものでご確認いただけます。
現場でよくある失敗例と対策
これまで多くの売却相談を受けてきた中で、実際によくある失敗パターンをご紹介します。
- 失敗例1:「エアコンは置いていくね」という口約束だけで済ませ、付帯設備表に記載しなかったため、引渡し後に動作不良を指摘されクレームに発展した
- 失敗例2:「どうせ処分に困るだろうから」と大型家具を独断で残置し、買主から処分費用を請求された
- 失敗例3:契約直前になって初めて残置物の相談をし、不用品回収業者の予約が引渡し日に間に合わず、日程調整が必要になった
こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。
- 「残す」「撤去する」の判断は、査定を受けた段階からできるだけ早く決めておく
- 残す設備は、故障の有無・使用年数まで付帯設備表に具体的に記載する
- 不用品回収・粗大ごみ収集の予約は、引渡し日から余裕を持って手配する
まとめ
- 付帯設備表は「設備を残すか撤去するか」を一覧にした書面、残置物は原則として売主が撤去すべき不要品
- エアコンは寿命8〜10年が目安。古いものは残す前提にせず処分を検討する
- 「残す」設備は故障の有無まで書面に残すことが、契約不適合責任のリスクを避ける鍵
- 残置物の撤去は引渡し当日より前に完了させる必要があり、早めの計画が欠かせない
付帯設備表・残置物の扱いは、契約直前になって慌てて決めるものではなく、査定・内覧の段階から少しずつ整理しておくとスムーズです。ご自身の物件で何を残すべきか迷ったら、査定のご相談の際にあわせてお尋ねください。手元に残る費用の計算は【売却編】手元に残るお金を計算するために、関連する専門用語は不動産用語集でも確認いただけます。

福井市の不動産査定・売却のご相談
この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)
福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。
設備・残置物の扱いも、査定のご相談時にまとめてお尋ねください


