実家を売るのは悲しい…と迷う方へ|気持ちの整理と、後悔しない進め方(福井市)

実家を売るのは悲しい…と迷う方へ|気持ちの整理と、後悔しない進め方

この記事でわかること

  • 実家を売ることに、悲しさや罪悪感を覚えるのは、ごく自然なこと。「売る」ことと「大切に思う」ことは、両立できる
  • 国土交通省の調査では、空き家の約6割が相続で受け継がれたもの。相続前に家の対策をしていた人は、約2割にとどまる。迷って動けないのは、あなただけではない
  • 選択肢は「売る・貸す・残す」の3つ。気持ちだけでなく、維持の手間と費用、税の期限、家族の事情も並べて比べると決めやすい
  • 売ると決めても、思い出は残せる。写真・動画の記録、家族で集まる日、仏壇や形見の整理など、売る前にできることがある
  • まだ決められないときは、「売る」と決めなくても、価格と期限だけ先に知るのが最初の一歩

「親が住んでいた家を、他人に渡してしまっていいのだろうか」「売ったら、親に申し訳ない気がする」——福井市でも、実家の売却を考える方から、こうした気持ちをうかがうことが少なくありません。この記事では、気持ちの整理のしかたと、後悔しにくい進め方を、一般的な範囲でお伝えします。無理に売ることをすすめる内容ではありません。

結論:気持ちはそのまま、「事実」を先に整理する

悲しさが消えるのを待つ必要は、ありません。気持ちはそのままに、「事実」を先に整理すると、迷いが少し軽くなります。順番の目安は、次のとおりです。

順番やること
① 気持ちを書き出すなぜ悲しいのか、何が気がかりか(思い出・仏壇・近所の目・きょうだいの意見など)を言葉にする
② 事実を知る家の価格の目安、毎年かかる維持費、売却に関わる税の期限を確認する(知るだけで、売る義務はない)
③ 選択肢を比べる売る・貸す・残すを、手間・費用・家族の事情で比べる
④ 家族で話すきょうだい・配偶者・(存命なら)親の気持ちを聞き、時期を一緒に決める
⑤ 売るなら、思い出を残す売る前に、記録を残し、整理の区切りをつくる

どの順番でも構いません。最初から「売る」と決めなくてよいことが、いちばんのポイントです。

「実家を売るのは悲しい」と感じるのは、自然なこと

実家は、建物であると同時に、家族の時間そのものです。悲しさの背景には、たとえば次のような気持ちがあります。

  • 思い出が詰まっている:子どもの頃の部屋、台所、庭、家族で過ごした季節の記憶
  • 親への申し訳なさ:親が守ってきた家を手放すことへの罪悪感
  • 帰る場所がなくなる寂しさ:実家は「帰れば誰かがいる場所」だった
  • 仏壇・先祖・地域とのつながり:福井でも、仏壇や墓、ご近所づきあいがあり、家を手放すことが「縁が切れる」ように感じられる
  • きょうだいとの気持ちの差:自分は売りたいが、きょうだいは残したい(またはその逆)

こうした気持ちは、家を大切に思ってきたからこそ生まれるものです。「早く割り切らなければ」と自分を責める必要はありません。

迷って動けない人は多い。国の調査でわかること

国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」(令和7年8月公表)では、次のような結果が示されています(全国の結果です)。

  • 空き家の約6割(57.9%)は、相続で取得されたもの。また、相続された空き家の約6割(58.3%)は、所有者が亡くなったことをきっかけに空き家になっている
  • 相続された空き家の7割超は、1980年以前に建てられた家(建物が古く、維持に手間がかかりやすい)
  • 相続の前に、家について何か対策をしていた人は23%。77%は対策なし。対策の中身で最も多いのは「亡くなる方との話し合い」(16.7%)
  • 相続前の対策をしていなかった空き家は、対策をした空き家に比べて、活用(売却・賃貸・居住)も解体も考えず、何もせずそのまま空き家として持ち続けている割合が約1.5倍
相続前に家の対策をしていなかった人は77%、対策をしていた人は23%。対策で最も多いのは被相続人との話し合いで16.7%(国土交通省 令和6年空き家所有者実態調査)

つまり、多くの方が、心の準備も家の話し合いもできないまま、突然「実家をどうするか」に向き合っています。迷って動けないのは、あなただけではありません。

また、同じ調査で、使い道のない空き家を持つ世帯の今後の意向は、次のようになっています。

使い道のない空き家の今後の意向。空き家のまま所有する40.6%、除却19.2%、売却18.3%(国土交通省 令和6年空き家所有者実態調査)
  • 約4割は「空き家のまま持ち続ける」(物置としての利用を含む)。解体や売却を考えている人は、合わせて約4割弱
  • 直近1年で、使い道のない空き家のうち約15%が空き家でなくなり、その理由で最も多かったのは「売却した」(75.8%)

「持ち続ける」ことも、ひとつの選択です。ただし、何も決めないまま時間が過ぎると、費用と手間が毎年かかり続けます。次の章で、選択肢を比べてみましょう。

「売る・貸す・残す」を比べてみる

売る貸す残す(持ち続ける)
向く人住む予定がない。維持の負担を終わらせたい。家族で分けたいいつか戻る可能性がある。収入を得ながら家を残したい近いうちに家族が住む・使う予定が具体的にある
気持ちの面手放す寂しさはあるが、区切りがつく家は残るが、他人が住む家は残るが、決断を先送りしやすい
お金・手間片付けと費用が一度かかる。その後は維持費がなくなる修繕・管理・入居者対応が続く。古い家は借り手がつきにくいことも固定資産税・保険・草刈りや冬の雪対策・修繕が毎年かかる
注意点税の特例には期限や要件がある。家族全員の合意が必要賃貸に向かない家も多い(築年数・立地・設備)放置すると、傷みや近隣トラブルのほか、管理不全空家等に指定されて固定資産税が上がるおそれ

どれが正解ということは、ありません。大切なのは、「何もしないまま」にならないことです。「残す」を選ぶ場合も、いつまで、誰が、どう管理するかを決めておくと、後で困りません。詳しくは次の記事もご覧ください。

売る場合は、相続した家について、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例(要件あり、売却は令和9年12月31日までなど)が使えることがあります。気持ちの整理に時間をかけたあとで、期限に間に合わなくなることもあるため、期限だけは先に確認しておくと安心です。3,000万円控除の記事で要件を確認できます。個別の判断は、税理士にご確認ください。

「まだ売ると決めたわけではない」という段階でも、ご相談いただけます

気持ちの整理からのご相談はこちら

売ると決めても、思い出は残せる

売ると決めたとき、「売る=思い出が消える」わけではありません。売る前に、次のような形で、思い出を残せます。

残し方内容
写真・動画で記録する玄関、居間、台所、子ども部屋、庭、柱の傷など。荷物を片付ける前に、家全体と、思い出の場所を撮っておく。間取り図や、昔の写真と並べるのもよい
家族で最後に集まるきょうだいや孫と、家で食事をする・掃除をする・思い出を話す。区切りの日をつくると、気持ちが整理しやすい
形あるものを手元に残す表札、建具の一部、食器、庭木の苗、親の手紙や道具など。すべてを残さず、「これだけは」を選ぶ
仏壇・位牌の扱いを決めるお寺(菩提寺)に相談し、お仏壇を引き取る・供養をするなどを決める。宗派や地域、お寺によって考え方が違うため、早めに相談を
遺品を無理なく整理するいきなり全部を片付けず、「残す・譲る・手放す」に分けて、少しずつ進める。専門業者を使う方法もある

片付けから引渡しまでの実務は、空き家になった実家、片付けと売却はどう進める?で詳しく解説しています。

家族で話し合うときのポイント

実家の売却は、ひとりでは決められないことがほとんどです。話し合いのときは、次の点を意識すると、気持ちのすれ違いが減ります。

  • 最初に「売る・売らない」を決めようとしない:まず、それぞれが「どんな気持ちか」「何が心配か」を聞き合う
  • お金と気持ちを分けて話す:「いくらで売れるか」と「どうしても残したいもの」は、別の話題として整理する
  • 事実を共有する:査定額、毎年の維持費、税の期限など、数字や期限を全員が同じ資料で確認する
  • 役割を決める:窓口になる人、片付けをする人、費用を立て替える人を決めておく
  • 期限を決めて、また話す:「3か月後にもう一度話す」など、結論を出す時期だけ先に決めておく

相続した家が共有名義で、きょうだいの意見がまとまらない場合は、共有名義の売却の実務と対処法をご覧ください。親御さんがご存命で、まだ判断できる状態なら、親が元気なうちに考える「生前売却」や、家族信託という方法もあります。法的な手続きの判断は、司法書士や弁護士にご相談ください。

迷っているときの、最初の一歩

決められないときは、「売る」と決めずに、できることから始めてください。

  1. 家の名義と書類を確認する:登記簿の名義は誰か。相続登記は済んでいるか(相続登記は、2027年3月31日までの猶予期限がある場合があります)
  2. 今の価格を知る:無料査定は、価格を知るためだけにも使えます。査定を受けても、売る義務はありません(売却をご検討の方の査定は無料)
  3. 期限を確認する:税の特例や、相続登記の期限、固定資産税の通知時期などをカレンダーに書き出す
  4. 家の状態を見に行く:雨漏り、雪の被害、庭木・草、郵便物、近所への影響を、年に数回は確認する
  5. 家族に連絡する:きょうだいに「まず、話をしたい」と声をかける

査定の結果を見て、「やはり売らない」と決めても構いません。決めるための材料を、先に集めることが、後悔を減らします。

福井市で実家を手放すときに気をつけたいこと

  • 雪と管理の手間:福井市は冬の積雪があり、空き家は雪の重みや雪下ろし、水道の凍結にも気を配る必要があります。遠方に住んでいると、管理が負担になりやすい
  • 旧市街地や、古い家:築年数が古い、道が狭い、駐車場がない、などの理由で、売り出しても時間がかかることがあります。福井市の旧市街地でよくある「売れない実家」もご覧ください
  • 仏壇・墓・ご近所づきあい:売却前に、お寺や親戚、ご近所に一言伝えておくと、気持ちの面でも整理しやすい
  • 家財・荷物が多い:実家の片付けは、想像より時間がかかります。売る時期の半年〜1年前から、少しずつ始める方も多い
  • 相続した土地・家の売却全般の流れは、実家を売却する流れと相続不動産ガイドをご覧ください

よくある質問

Q. 実家を売ったら、後悔しますか?

後悔するかどうかは、人によって違います。後悔につながりやすいのは、「きょうだいに相談せず決めた」「思い出を残す前に片付けた」「期限に追われて急いだ」といった進め方です。気持ちの整理と記録を先に済ませ、家族で納得して決めると、後悔は小さくなりやすいと言われます。

Q. 仏壇があるのですが、売ってもいいのでしょうか?

お仏壇を引き取る、お寺に相談して供養をするなど、方法はいくつかあります。宗派・地域・お寺によって考え方が異なるため、菩提寺や僧侶にご相談ください。仏壇があることで、売却ができなくなるわけではありません。

Q. きょうだいで意見が分かれたら、どうすればいいですか?

まず、それぞれの気持ちと理由を聞くことから始めましょう。そのうえで、査定額・維持費・税の期限など、事実を同じ資料で共有し、結論を出す時期を決めて話し合います。共有名義の場合は、売却に原則として共有者全員の同意が必要です。難しいときは、司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。

Q. 親がまだ住んでいる(または施設にいる)家は、どう話を切り出せばいいですか?

「売る話」から入るより、「これからの暮らしや家のことを、一緒に考えたい」と伝えるほうが、話しやすいと言われます。親御さんの気持ちを聞き、家の将来(売る・貸す・残す)について、希望があれば残してもらうと、後で家族が迷わずにすみます。

Q. すぐには売れそうにない家でも、相談できますか?

はい、ご相談いただけます。「売るかどうか決めていない」段階でも、価格の目安や、できることの整理をお手伝いします。

まとめ

  • 実家を売ることに悲しさを感じるのは自然なこと。「売る」と「大切に思う」は両立できる
  • 相続した空き家は多く、家の対策を事前にしていた人は約2割。迷うのは、あなただけではない
  • 気持ちはそのままに、価格・維持費・税の期限という「事実」を先に確認する。知るだけでは、売る義務は生じない
  • 売ると決めたら、写真・動画の記録、家族で集まる日、形見の選別、仏壇の相談など、思い出を残す準備をする
  • 決められないときは、「売る」と決めず、名義の確認と査定から始める。迷ったら、不動産会社や専門家に、早めに相談する

なお、本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律・税務・供養の判断ではありません。税の特例や手続きの個別の判断は税理士・司法書士に、仏壇や供養の考え方は菩提寺や僧侶にご確認ください。出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」結果のポイント(令和7年8月29日公表)。

春山不動産 代表者 間 麗

福井市の不動産売却のご相談

この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)

福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。

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