福井県の空き家率が過去最高の15.6%に。実家の相続人が今知っておきたいこと

空き家率、過去最高に

この記事でわかること

  • 福井県の空き家率は15.6%で過去最高を更新(令和5年住宅・土地統計調査、平成30年比+1.8ポイント)
  • 福井市の空き家率は県平均より高い16.1%。増加の中心は「賃貸にも売却にも出されていない、その他の空き家」
  • 実家を「その他の空き家」にしないためには、維持・賃貸・売却・解体の4つの選択肢を早めに比較検討することが大切
  • 相続登記の義務化により、判断を先送りできる期間には実質的な期限がある

「福井県の空き家率が過去最高を更新した」というニュースを目にした方もいらっしゃるかもしれません。総務省が5年に1度実施する住宅・土地統計調査の最新結果(令和5年10月1日時点)によると、福井県の空き家率は15.6%と、平成30年の前回調査から1.8ポイント上昇し、過去最高を記録しました。今回は、この統計が意味するところと、福井市内に実家をお持ちで「そろそろ考えないといけないけれど、まだ手をつけられていない」という相続人の方に向けて、今からできる選択肢を、20年の実務経験と空き家等実態調査員としての現場の視点も交えてお伝えします。

なぜ福井県・福井市の空き家率は「過去最高」を更新したのか

5年に1度の全国調査で明らかになった数字

住宅・土地統計調査は、総務省統計局が5年ごとに実施する国の基幹統計調査です。令和5年調査では、福井県内の総住宅数は341,400戸(前回比+16,000戸)で、そのうち空き家が占める割合(空き家率)は15.6%。全国平均(13.8%)を大きく上回り、前回調査からの上昇幅1.8ポイントは過去の調査の中でも高い水準です。

福井市はさらに高い16.1%。増えているのは「その他の空き家」

福井市の数字を見ると、傾向はより顕著です。福井市の総住宅数は124,690戸、空き家数は20,050戸で、空き家率は16.1%。前回調査(平成30年)からは1.7ポイント上昇しています。

福井県・福井市の空き家率(平成30年→令和5年)

注目すべきは、空き家の「種類別内訳」です。空き家は「賃貸用」「売却用」「二次的住宅(別荘など)」「その他の空き家」の4つに分類されますが、福井市で最も多いのは賃貸用の9,600戸(47.9%)、次いで「その他の空き家」8,440戸(42.1%)となっています。そして前回調査からの増加数がもっとも大きかったのも、この「その他の空き家」(+1,960戸)でした。

「その他の空き家」とは、賃貸にも売却にも出されておらず、所有者の判断が保留されたまま残っている住宅を指します。相続した実家がこの「その他の空き家」に該当しているケースは非常に多く、統計上の増加は、いわば「判断を先送りにされた実家」が積み重なった結果と言えます。

実家を「その他の空き家」にしないための4つの選択肢

実家が空き家になった、あるいはこれから空き家になりそうな場合、選択肢は大きく4つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットを押さえたうえで、ご自身の状況に合った方針を早めに決めておくことが、「その他の空き家」化を防ぐ最大のポイントです。

①そのまま維持管理する

将来的に住む予定がある、あるいはすぐには手放す決断ができない場合の選択肢です。ただし、福井の気候特有の積雪・湿気による劣化リスクや、固定資産税・管理費用など、維持にかかるコストは軽視できません。管理のリアルな現実は福井の実家を「負動産」にしないためにで詳しく解説しています。

②賃貸に出す

立地や建物の状態によっては、賃貸として活用できるケースもあります。ただし、旧耐震基準の建物やリフォームが必要な場合は初期投資がかかるため、家賃相場と照らした収支のシミュレーションが欠かせません。

③売却する

「もう住む予定がない」と判断した場合、早めの売却は維持コストの負担をなくし、資産を活かす有効な選択肢です。相続した空き家を売却する際、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が使える場合があります(制度の詳細・適用要件は空き家特例で最大3,000万円控除をご参照ください。適用可否の最終判断は税務署・税理士にご確認ください)。福井市の空き家情報バンクに登録すれば、取得支援制度を利用する買主とのマッチングも期待できます。

④解体して土地として活用・売却する

老朽化が進み、建物の資産価値が見込めない場合は、解体して更地として売却・活用する方法もあります。福井市には老朽危険な空き家等の除却に対する補助制度も用意されているため、解体費用の一部を軽減できるケースがあります(制度は年度により内容が変わるため、福井市の窓口で最新情報をご確認ください)。

判断を先送りしないために——相続登記の義務化とセットで考える

2024年4月から相続登記が義務化され、相続の開始および所有権の取得を知った日から3年以内に登記申請をしないと、過料の対象となる可能性があります。「まだ決めなくていい」と思っているうちに、この期限が近づいていることも少なくありません。相続登記の具体的な流れは相続登記の義務化と福井市の不動産への影響で解説していますので、実家の空き家をどうするか考えるタイミングとあわせてご確認ください。

現場でよくある失敗例と対策

空き家の現地調査や売却のご相談を通じて、実際によく見られるパターンをご紹介します。

  • 失敗例1:「まだ決めなくていい」と数年判断を先送りしているうちに建物の劣化が進み、当初想定していたより解体費用や修繕費用がかさんでしまった
  • 失敗例2:相続人が複数いて誰も方針を決められず、遺産分割が進まないまま空き家状態が固定化してしまった
  • 失敗例3:空き家バンクや取得支援・除却支援といった福井市の補助制度の存在を知らず、使えたはずの支援を使わないまま自己負担で対応してしまった

こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。

  • 「いつか決める」ではなく、相続発生後のなるべく早い段階で維持・賃貸・売却・解体のいずれかの方針を仮でも決めておく
  • 相続人が複数いる場合は、早い段階で全員の意向を共有し、方針決定の期限を決めておく
  • 福井市の補助制度は年度ごとに内容・予算枠が変わるため、動き出す前に窓口や不動産会社に最新情報を確認する

まとめ

  • 福井県の空き家率は15.6%、福井市は16.1%で、いずれも過去最高を更新
  • 増加の中心は「賃貸にも売却にも出されていない、その他の空き家」で、相続後に判断が先送りされた実家が積み重なった結果と考えられる
  • 実家を「その他の空き家」にしないためには、維持・賃貸・売却・解体の4つの選択肢を早めに比較検討することが重要
  • 相続登記の義務化により、判断を先送りできる期間には実質的な期限がある

統計の数字だけを見ると他人事のように感じるかもしれませんが、「その他の空き家」の多くは、かつて誰かが大切に暮らしていた実家です。まずは福井の実家を「負動産」にしないためにで維持管理の現実を知っていただくか、売却も視野に入れている場合は無料査定でご自宅の状況を客観的に把握することから始めてみませんか。春山不動産では、空き家バンクや各種補助制度の活用も含めて、実家の空き家に関するご相談に幅広く対応しています。

春山不動産 代表者 間 麗

福井市の空き家・実家のご相談

この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)

福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。