重要事項説明とは?購入前に見るべきチェックポイントを解説

重要事項説明のチェックポイント

この記事でわかること

  • 重要事項説明とは、契約前に宅地建物取引士(宅建士)が買主に対し、物件の権利関係・法令上の制限・取引条件などを書面(35条書面)で説明する、宅建業法上の義務であること
  • チェックすべき項目は大きく「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」の2種類に分かれる
  • 特に見落としやすいのが、再建築の可否を左右する「接道状況」と、契約解除・違約金にかかわる「手付金等の保全措置」「住宅ローン特約」
  • 「後から知らなかったでは通らない」書面のため、当日その場で読み込むのではなく、事前に書面を受け取って質問を準備しておくことが後悔しないコツ

「重要事項説明」という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんな内容が話されるのか、何を確認すればいいのかは、初めて不動産を購入する方にとって分かりにくいものです。専門用語も多く、当日その場で一気に説明を受けると、聞き流してしまう項目も出てきます。今回は、20年の実務経験をもとに、重要事項説明で買主が特に注目すべきチェックポイントを分かりやすく解説します。

重要事項説明とは何か

契約前に必ず行われる、法律で定められた説明

重要事項説明とは、不動産の売買契約を結ぶ前に、宅地建物取引士が買主に対して、物件や取引条件に関する重要な事柄を書面を交付して説明することです。宅地建物取引業法第35条に規定されていることから、この際に交付される書面は「35条書面」とも呼ばれます。

誰が、いつ、どうやって説明するのか

  • 説明者:宅地建物取引士に限られており、説明の際には買主に対して宅建士証を提示する義務があります
  • タイミング:売買契約が成立するまでの間(契約締結前)に行われます。「契約書に押印した後で聞いた」ということがあってはならない仕組みです
  • 方法:対面での説明が原則ですが、一定の要件を満たせばオンラインで行う「IT重説」も利用できます

買主(借主)が説明を受ける対象であり、売主(貸主)には受ける義務がありません。裏を返せば、重要事項説明書は買主を保護するための制度だということです。

チェックすべき2つの柱:「物件」と「取引条件」

重要事項説明書の記載事項は多岐にわたりますが、大きく「物件そのものに関する事項」と「取引条件に関する事項」の2つに分けて理解すると整理しやすくなります。

物件に関する事項で特に注目したい項目

  • 登記記録に記載された事項:所有権以外に抵当権や差押えなどの登記がないか。決済までに抹消される予定かどうかも確認しましょう
  • 法令上の制限(用途地域・建ぺい率・容積率など):将来、周辺にどんな建物が建てられるかに関わり、住環境やプランに影響します
  • 接道状況(道路との関係):建築基準法上の道路に一定幅で接していない土地は、将来の建て替え(再建築)ができない可能性があります。見落とすと資産価値に大きく関わる項目です
  • 水害ハザードマップにおける所在地:対象地域内かどうかは法律で説明が義務付けられています(事前に福井市のハザードマップで確認しておくと安心です)。「聞いたけれど聞き流した」を避けたい項目です
  • 石綿(アスベスト)使用調査・耐震診断の有無:調査結果があれば内容を、ない場合は「未調査」であることを確認します。将来の解体・リフォーム費用の見積もりにも関わります
  • 建物状況調査(インスペクション)の実施有無:実施済みであれば結果概要を必ず確認しましょう。中古住宅の場合、購入後の想定外の修繕費を避けるために重要です

取引条件に関する事項で特に注目したい項目

  • 手付金等の保全措置の概要:万一、決済前に売主に何かあった場合でも手付金が守られる仕組みかどうかを確認します
  • 住宅ローン特約(ローンが成立しないときの措置):ローン審査に通らなかった場合に、違約金なしで契約を白紙撤回できるかどうかを左右する重要な条項です
  • 契約の解除に関する事項:手付解除できる期限や、引渡し前に物件が損傷した場合の危険負担の考え方を確認します
  • 損害賠償額の予定・違約金に関する事項:契約を解除した場合の負担額の目安(一般的に売買代金の10〜20%程度とされることが多い)を事前に把握しておきます
  • 契約不適合責任の履行に関する保証・保険の概要:既存住宅売買瑕疵保険などに加入している物件かどうかで、引渡し後に不具合が見つかった際の負担が変わります。契約不適合責任そのものの考え方はこちらの記事でも解説しています

マンションの場合は、これらに加えて管理費・修繕積立金の額や滞納の有無、専有部分の用途制限なども重要なチェックポイントになります。

当日困らないための3つのコツ

①できれば契約日より前に書面を受け取る

重要事項説明は契約成立前であれば実施のタイミングに法律上の決まりはなく、実務上は契約と同日に行われることも珍しくありません。しかし、その場で初めて何十ページもの書面を読んで理解するのは簡単ではありません。可能であれば、事前に書面のコピーをもらい、目を通しておくと安心です。

②気になった点はその場で質問し、メモを残す

「後から確認しよう」と思っているうちに忘れてしまうケースは少なくありません。疑問点はその場で質問し、回答内容を書面の余白にメモしておくと、後日の「言った言わない」トラブルを防げます。

③書面は契約後も保管しておく

重要事項説明書は、引渡し後に何か問題が発生した際、契約時にどこまで説明を受けていたかを確認する重要な証拠になります。契約書と合わせて大切に保管しましょう。

現場でよくある失敗例と対策

これまでの購入のご相談の中で、実際によくある失敗パターンをご紹介します。

  • 失敗例1:契約日当日に重要事項説明を受け、時間に追われるまま署名してしまい、後から接道状況に不安な点があったことに気づいた
  • 失敗例2:ハザードマップの説明を受けていたが聞き流してしまい、購入後に浸水想定区域だったことを近隣の方から知らされた
  • 失敗例3:住宅ローン特約の期限を確認しておらず、審査が長引いて特約の期限を過ぎてしまい、契約解除の交渉が難航した

こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。

  • 可能な限り、契約日より前に重要事項説明書のコピーを受け取り、事前に目を通しておく
  • ハザードマップ・接道状況・法令上の制限など、資産価値に直結する項目は特に注意して聞く
  • 住宅ローン特約の期限は必ず自分でも把握し、審査の進捗をこまめに仲介会社に確認する

まとめ

  • 重要事項説明は、契約前に宅建士が買主へ書面で行う、宅建業法上の義務
  • チェックすべき項目は「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」の2つに大別される
  • 特に接道状況・ハザードマップ・住宅ローン特約は見落とすと資産価値やお金に直結する重要項目
  • できれば事前に書面を受け取り、質問を準備したうえで説明に臨むことが後悔しないコツ

重要事項説明は専門用語が多く、初めて聞く内容も多いものですが、疑問点はどんな小さなことでも遠慮なく質問していただいて構いません。春山不動産では、契約前の書面を事前にお渡しし、ご納得いただくまで丁寧にご説明することを心がけています。購入全体の流れは不動産購入の流れとポイント、住宅ローンの事前準備は住宅ローンの事前審査の基本、専門用語は不動産用語集(売買契約に関する用語)もあわせてご参照ください。中古住宅の場合の物件の見方は、コラム「福井市で中古住宅を買うときのチェックポイント」で解説しています。

春山不動産 代表者 間 麗

福井市の不動産購入・契約のご相談

この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)

福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。