不動産売買契約書とは?買主・売主が見るべきチェックポイント

売買契約書のチェックポイント

この記事でわかること

  • 不動産売買契約書とは、買主・売主が売買条件に合意したことを証明する書面であり、契約前に宅建士が説明する「重要事項説明書(35条書面)」とは役割が異なること
  • 手付金・引渡し時期・所有権移転登記など、買主・売主どちらの立場でも必ず確認すべき記載事項
  • 「白紙解除」できるかどうかを左右する住宅ローン特約や、手付解除の期限など、見落とすと数百万円単位の損失につながりかねない特約条項
  • 契約金額に応じた印紙税の金額と、令和9年(2027年)3月31日までの軽減措置・電子契約なら印紙が不要になる仕組み

不動産の売買では、契約の直前に「重要事項説明書」と「売買契約書」という2つの書面を受け取ります。名前が似ているうえ、当日にまとめて説明を受けることも多いため、「結局どちらで何を確認すればいいのか分からない」という声をよくお聞きします。今回は、20年の実務経験をもとに、買主・売主どちらの立場でも必ず押さえておきたい売買契約書のチェックポイントを分かりやすく解説します。

不動産売買契約書とは何か

「重要事項説明書」との違い

売買契約書とは、買主と売主が売買条件について最終的に合意したことを証明する書面です。宅地建物取引業法第37条に規定されていることから「37条書面」とも呼ばれます。これに対して重要事項説明書(35条書面)は、契約前に宅建士が買主に対して物件・取引条件のリスクを説明するための書面であり、あくまで契約するかどうかを判断するための資料です。つまり、重要事項説明で内容を理解したうえで、売買契約書に署名・押印して正式に合意する、という順番になります。

誰が用意し、いつ取り交わすのか

売買契約書は仲介する不動産会社が作成し、契約日に買主・売主双方が内容を確認したうえで署名・押印(または電子契約の場合は電子署名)します。一度取り交わすと、後から「知らなかった」では済まされない拘束力のある書面になるため、当日に流し読みするのではなく、可能であれば事前に案文を受け取り、目を通しておくことをおすすめします。

買主・売主共通で必ず確認したい記載事項

  • 不動産の表示:登記簿上の所在・地番・面積などが、実際の物件と一致しているか
  • 売買代金・支払方法:手付金・(必要な場合は)中間金・残代金それぞれの金額と支払期日
  • 引渡し時期:物件を明け渡す期日。買主にとっては入居・リフォーム計画、売主にとっては引越し計画に直結します
  • 所有権移転登記の時期:一般的には残代金の支払いと同時に行われます
  • 公租公課等の精算:固定資産税・都市計画税を引渡し日を起算日として日割り精算する旨の取り決め
  • 契約不適合責任:引渡し後に雨漏り・シロアリ被害などの不具合が見つかった場合の売主の責任範囲。考え方の詳細はこちらの記事で解説しています

見落とすと大きな損失につながる特約条項

住宅ローン特約(ローン特約)

買主が住宅ローンを利用する場合に必ず確認したいのが住宅ローン特約です。期限までにローン審査が通らなかった場合、違約金なしで契約を白紙解除できるという買主保護のための条項で、特約がない、または期限が実際の審査期間より短いと、審査に落ちた際に手付金を放棄せざるを得なくなるおそれがあります。期限日は必ず自分でも把握し、審査の進捗をこまめに仲介会社へ確認しましょう。

手付解除の期限

契約後、一定期間内であれば買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額を返還して、それぞれ契約を解除できる「手付解除」の仕組みがあります。この期限を過ぎると、正当な理由なく解除する場合は違約金(一般的に売買代金の10〜20%程度)が発生するため、期限がいつまでかを双方が正確に把握しておく必要があります。

危険負担

契約から引渡しまでの間に、台風や火災などで建物が損傷した場合、その負担を誰が負うかを定めた条項です。近年の契約書では「引渡し前の滅失・損傷は売主の負担とし、買主は代金支払義務を免れる」とする内容が一般的ですが、契約書ごとに表現が異なるため必ず確認しましょう。

印紙税はいくら?軽減措置と電子契約

売買契約書を紙の書面で取り交わす場合、契約金額に応じた収入印紙を貼付し、買主・売主それぞれが自分の保有する契約書分の印紙税を負担するのが一般的です。不動産の譲渡に関する契約書には軽減税率が適用されており、主な金額帯は次のとおりです。

  • 500万円超1,000万円以下:5,000円(本則税率は1万円)
  • 1,000万円超5,000万円以下:1万円(本則税率は2万円)
  • 5,000万円超1億円以下:3万円(本則税率は6万円)

この軽減措置は、令和9年(2027年)3月31日までに作成される契約書が対象です。また、契約をPDFなどの電子データで締結する「電子契約」の場合は、印紙税の課税対象となる「文書」の作成にあたらないため、契約金額にかかわらず印紙税はかかりません。

現場でよくある失敗例と対策

これまでの売買のご相談の中で、実際によくある失敗パターンをご紹介します。

  • 失敗例1:住宅ローン特約の期限を把握しておらず、審査が長引いて期限を過ぎてしまい、契約解除の交渉が難航した
  • 失敗例2:引渡し日の公租公課の起算日を確認せず、想定より多く固定資産税を負担することになった(売主側)
  • 失敗例3:契約書の案文を契約当日に初めて見て、その場で読み切れないまま署名してしまい、後から特約条項の内容に気づいた

こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。

  • 住宅ローン特約・手付解除の期限は、買主・売主どちらも自分の手帳やカレンダーに控えておく
  • 公租公課の起算日・負担割合は、売買代金だけでなく必ず契約書の条文で確認する
  • 可能な限り契約日より前に契約書の案文を受け取り、疑問点は事前に仲介会社へ質問しておく

まとめ

  • 売買契約書(37条書面)は、契約前の重要事項説明書(35条書面)とは役割が異なり、買主・売主の最終的な合意を証明する書面
  • 売買代金・引渡し時期・公租公課の精算・契約不適合責任は、買主・売主どちらも必ず確認すべき事項
  • 住宅ローン特約・手付解除の期限・危険負担は、見落とすと数百万円単位の損失につながりかねない特約条項
  • 印紙税は令和9年3月31日まで軽減措置の対象。電子契約であれば印紙税はかからない

売買契約書は専門用語や特約条項が多く、当日その場で理解するのは簡単ではありません。春山不動産では、契約前に案文をお渡しし、買主・売主どちらの立場のお客様にもご納得いただけるまで丁寧にご説明することを心がけています。購入をお考えの方は不動産購入の流れとポイント、売却をお考えの方は初めての不動産売却、何から始める?、契約にかかる諸費用は諸費用の正体、専門用語は不動産用語集(売買契約に関する用語)もあわせてご参照ください。

売却・購入の流れ、費用、税金、契約で確認することを、福井市の不動産売買ガイドにまとめています。

春山不動産 代表者 間 麗

福井市の不動産売買契約のご相談

この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)

福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。