不動産売却の税金はいくら?譲渡所得の計算と3,000万円控除・確定申告のしかた(福井市)

この記事でわかること
- 自宅を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、原則として確定申告が必要であること
- 利益が3,000万円以下でも、「3,000万円特別控除」を使って税額をゼロにするには確定申告そのものが必須であること(申告しなければ控除は適用されない)
- 申告期間は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までであること
- 反対に売却で損失が出た場合は申告不要が原則だが、一定の要件を満たせば損失を他の所得と相殺したり、翌年以降に繰り越せる特例があり、その場合は申告が必要になること
自宅を売却して一区切りついたと思ったら、次に気になるのが「確定申告は必要なのか」という点です。「会社員だから確定申告は無縁」と思っている方ほど見落としがちですが、不動産の売却益には給与とは別枠で税金がかかり、申告が必要になるケースがあります。今回は20年の実務経験と国税庁の公式情報をもとに、自宅を売却した年に知っておきたい確定申告の基本を解説します。
譲渡所得とは何か・確定申告が必要になるケース
譲渡所得とは、不動産を売った価格から、購入時の代金(取得費)や売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた利益のことです。給与所得などとは合算せず、別に税額を計算する「分離課税」の対象になります。この譲渡所得がプラスになった方は、原則として確定申告が必要です。取得費が分からない古い物件の場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」という方法もありますが、実額より低く計算されて税額が増えるケースが多いため、購入時の売買契約書や領収書はできる限り探しておくことをおすすめします。諸費用の内訳は諸費用の正体もあわせてご参照ください。
「3,000万円特別控除」の内容と申告必須という落とし穴
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。譲渡所得がこの控除額に収まれば、税額は実質ゼロになります。
ここで見落とされがちなのが、この特例は確定申告をして初めて適用されるという点です。「控除の範囲内だから税金はかからない、だから申告もしなくていい」と考えてしまう方が少なくありませんが、それは誤りです。申告しなければ特例は適用されず、譲渡所得に対してそのまま課税されてしまいます。また、所有期間が10年を超えるマイホームであれば、3,000万円特別控除に加えて税率を抑える「軽減税率の特例」も併用できます。
相続した不動産を売る場合は、相続税を払っていれば、取得費加算の特例で譲渡所得の税金を減らせることもあります。
税金はいくらかかる?計算のしかたと税率
譲渡所得にかかる税金は、次の順に計算します。
課税される譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除(3,000万円など)
取得費は、購入したときの代金です。建物の部分は、築年数に応じて減らして計算します。譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売るためにかかった費用です。税率は、売った年の1月1日時点の所有期間で、次のように分かれます。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%) |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
たとえば、2,500万円で売却し、取得費と譲渡費用が合わせて2,000万円だった場合、譲渡所得は500万円です。所有期間が5年を超えていれば、特別控除を使わないときの税額は、500万円×20.315%=約101.6万円です。マイホームで3,000万円特別控除を使えれば、この例では税額は0円になりますが、申告は必要です。
また、5,000万円で売却し、取得費と譲渡費用が1,500万円だった場合は、譲渡所得が3,500万円です。3,000万円の特別控除を引くと500万円が残り、長期なら約101.6万円となります。実際の税額は、個別の事情で変わります。具体的な金額は、税務署や税理士にご確認ください。相続した空き家の特例は、空き家特例で最大3,000万円控除と相続した実家を売るなら知っておきたい「3,000万円控除」の特例で解説しています。
申告期限・必要書類
譲渡所得の確定申告期間は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。給与所得者の年末調整とは別に、この期間内にご自身で手続きする必要があります。主な必要書類は次のとおりです。
- 確定申告書
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
- 売買契約書の写し(売却時・購入時の両方)
- 登記事項証明書(全部事項証明書)
- 売買契約日の前日時点の住民票と物件所在地が異なる場合は、戸籍の附票の写しなど居住していたことが分かる書類
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書と内訳書を作成できます。
売却で損失が出た場合の扱い
売却価格が取得費・譲渡費用を下回り、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)になった場合、その譲渡所得については申告義務はありません。ただし、住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が出た場合など、一定の要件を満たせば、その損失を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)したり、控除しきれない分を翌年以降3年間繰り越せる特例があります。この特例を使うには、損失が出ていても確定申告が必要になる点は、利益が出た場合の3,000万円特別控除と同じ考え方です。該当する可能性がある方は、適用要件を税理士や税務署に確認することをおすすめします。
確定申告で使う書類を含め、売却全体で必要な書類は不動産売却の必要書類一覧にまとめています。
現場でよくある失敗例と対策
これまでのご相談の中で、実際によくあった失敗パターンをご紹介します。
- 失敗例1:3,000万円控除の範囲内だから税金はかからないと思い込み、確定申告自体をしなかった結果、後日税務署から問い合わせがあった
- 失敗例2:購入時の売買契約書を紛失しており、概算取得費(売却価格の5%)で計算せざるを得ず、想定より税額が高くなった
- 失敗例3:申告期限(3月15日)を勘違いしており、期限間際に必要書類が揃わず慌てた
こうした失敗を避けるための対策は次の3点です。
- 譲渡所得の計算結果にかかわらず、売却した年は確定申告が必要かどうかを必ず確認する
- 購入時の売買契約書・領収書は、売却が決まった時点で早めに探しておく
- 申告期間(翌年2月16日〜3月15日)を売却直後からカレンダーに控えておく
まとめ
- 自宅売却で利益が出た場合は、原則として確定申告が必要
- 3,000万円特別控除は、確定申告をして初めて適用される(申告しないと控除されない)
- 申告期間は売却した年の翌年2月16日から3月15日まで
- 損失が出た場合も、損益通算・繰越控除の特例を使うなら申告が必要
本記事は制度の一般的な内容をご紹介するものであり、個別の税務相談・税額計算を行うものではありません。実際の確定申告や税額計算は、税理士または税務署にご確認ください。春山不動産では、売却時にかかる諸費用や手残り金額のご相談も承っております。売却の流れは初めての不動産売却、何から始める?、手残り金額の計算は手元に残るお金を計算するためにもあわせてご参照ください。
売却・購入の流れ、費用、税金、契約で確認することを、福井市の不動産売買ガイドにまとめています。
住宅ローンが残っている家の売り方(完済の流れと手取りの計算)は、住宅ローンが残っている家を売るには?で解説しています。

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この記事を書いた人:代表者 間 麗 (はざま あきら)
福井市の「春山不動産」代表。不動産業界歴20年の知見を活かし、不動産売買・賃貸の仲介から、管理、コンサルティング、相続・空き家・建物解体、住宅ローンのご相談まで、一人ひとりに寄り添い手厚くサポートいたします。
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